私は、どこの店でもまず、あれば苺ショートから食べてみるようにしている。
海外で修行した人は、仕方なく作っている人もいるみたいだけど、それでも、日本人は、苺ショートが大好きなのだ。
それは、まだモノのない時代の洋菓子に対する憧れが、あのケーキには込められているのだろう。
確かに、スポンジと生クリームと苺の組み合わせは単純だ。
だからこそ、工夫の余地もあるのだろう。
ここの苺のロールケーキを食べたときは、驚いた。
三鷹のレヴェ以外で、美味しいお店を初めて知ったのだ。
スポンジと生クリームをロールケーキにして、ジャムを酸味のアクセントにする創意工夫が感動的だった。
また、有名な上野の山のモンブランは、やはり、他店では真似のできない美味しさに仕上がっている。
そして、ショコラティエにも力を注いでいて、別店舗にある。
上野のお店は、いつも人が並んでいる。
店内は、厨房が見える。
小さいお店の中を店員の方がくるくる回っていて、待つのが苦にならないくらい見事な振る舞いなのだ。
オーナーは、店員の地位向上のために協会を作って活動しているそうだ。
売る人のことを、ヴァンドウーズというそうだが、その協会を作っている。初代会長だそうだ。
パティシエに比べて、地味な店員のために努力している姿には、頭が下がる。
寒い冬の時期、外で待っていると、オーナー自ら、チョコレートの飲み物を、待っている人たちに配っていることにあたったことがある。一人ひとりのお客を大切に扱っているのだろう。
経歴に触れておくと、調理師専門学校を卒業後、東京ヒルトンホテルに入社。その後、渡欧して、スイス・パリにて研鑽を重ね、フランスで行われた、シャルルプルーストコンクールで、銀賞を受賞する。
帰国後、西洋銀座に入り、世界大会のクープ・ド・モンドに日本代表リーダーとして活躍して、6位入賞を果たす。
イタリアで行われた、SIGEPに、日本代表で参加して、金賞を受賞した。
その後、上野にお店を出す。
パウンドケーキにも力を入れていて、その日朝焼いた分を売っている。
種類も、12種類もあり、お土産などにもいいだろう。
クッキーの詰め合わせとマカロンは、ただいま製造お休み中だそうだ。
各種、配送も行っている。
料理ボランティアの会も作っていて、多岐にわたる活動を行っている。
また、オーナーの元から独立した人たちは、みんなオーナーの人格を絶賛している。
そんな誠実な人格が、ケーキにも反映されているのだと思うのだ。